みなさんこんにちは、Kuです!
さてさて、今回は「歌詞のリズム感」について。
『歌詞のあてこみ』
突然ですが、作詞をする上で、歌のリズム、言葉のリズムを意識したことはあるでしょうか。
「え、詞先ならともかく、単純にメロディの形にあわせればいいんじゃないの? 文字数が決まっているのならリズムを意識していてもしょうがないんじゃ…」と思ったかたも、中にはいるかもしれません。
いえいえ、それでは半分は正解ですが、半分は不正解です。
確かに歌詞は、メロディの形に多少なりとも制限されるものです。
ですが実際、「文字数」に関してはある程度自由がききます。
そこで出てくるのが、作詞の初歩的でかつ重要なテクニックの1つ「あてこみ」です。
「あてこみ」とは、「一つの音に何文字割り当てるか」ということです。
理解できましたか? そうです。作詞には「一つの音符には一文字だけしか使えない」というルールはありません。
これを知っているか知らないかで、作詞の自由度や「歌詞のリズム感」が段違いに大きく変わってきます。
■パターン①『一音一文字』
・メリット:言葉がはっきりわかりやすい。強調したい言葉に使うとよい。
「お・も・て・な・し」みたいな、一文字ずつわざと発音するようなイメージ。
・デメリット:スピード感がなく、フレーズすべてを一文字であてこむと平坦な印象になりやすい。
■パターン②『一音二文字』別名「こぼし」と言われるテクニック。
・メリット:「一音一文字」と組み合わせることで滑らかに緩急をつけることができる。「こぼし」た部分が加速した感じに聴こえる。
・デメリット:使い過ぎると「無理やり感」が出てしまい、歌いづらくなる。
■パターン③『一音三文字以上』(英語発音)
・メリット:スピード感が出る。洋楽っぽいノリの良さが出せる。
・デメリット:歌詞の意味が聞き取りづらくなる。使いこなすにはセンスが必要。
言語にはそれぞれ「音節」というものがあり、言語によって異なります。
「音節」とは言語音を区切る文節単位、わかりやすく言えば「聞こえる音声のひとまとまり」のこと。
英語と日本語を比べると、同じ文字数でも音節が大きく異なります。
たとえば「サイクリング / Cycling」
・日本語読み(カタコト英語)「サ イ ク リン グ」で5音節。
・英語読み「Cy cling」で2音節。
日本語を英語っぽい単語の発音として使ってみると、「あてこみ」やすいかもしれません。
いわゆる日本語に聞こえる英語歌詞、「空耳アワー」の逆バージョンですかね(笑)
昨今、「英語っぽく聞こえる日本語歌詞」が増えてきたからか、ネタで歌詞を書いている人もいますね(笑)
岡崎体育さんが作詞した「留学生」とかマジでわかりやすく「空耳アワー」の傑作です。
いやー天才ですな^^ Youtubeにあるので一度是非聴いてみてください。
『歌詞のリズム』
さて、「あてこみ」は基本的に「メロディありき」ではありますが、中にはメロディを頭の中で鳴らしながら作詞・作曲を同時にされている方もいると思います。
実は著者のKuも「歌詞メロディ同時型」です。
まぁ、それは置いておいて(笑) ただ無秩序に思いつく限り言葉を並べただけでは音楽としての歌詞は作れません。
そこである程度の「型」は必要になってくるかと思います。
下記にいくつかパターンを載せておきますので、ご参考までに。
- 七五調(5・7・5・7):「日本語の音節」のあてこみと相性が良い、安定したリズム。言葉をはっきり伝えたいバラード向き。いわゆる「俳句・短歌調」。
- 全て3音(3・3・3):跳ねるようなビート感。自然に韻を踏みやすい。3連符(シャッフル)のメロディとも相性が良い。
- 全て4音(4・4・4):「刻む」ようなリズム感。スクエアな感じ。8ビートな印象。
- 「3・4(押韻)」:緩急のある軽やかなリズム感。3文字で助走がつき4文字の部分でメロディが動くイメージ。
- 「3・3・7」:3と3で2段階助走をとり、7の部分で一気に跳躍するようなイメージ。インパクトが強め。
- 「3・3・3・3・3・・・」:たたみかけるようなリズム感。3の連チャンで強烈な印象に。
もちろん、「一つのフレーズに一つの型だけ」ということはなく、組み合わせ使ってもOKです。
『リズムアクセントをつける文字』
- 濁音(ガ・ザ・ダ・バ・パ行):言葉のリズムに強めのアクセントが付く 。
- 促音(小さい「ッ」):リズムアクセントが強調される。
☆作詞テクニック『3音節(奇数)で始める』
奇数の音数(3・5・7)の単語を使うとなぜよいかと言われると、「奇数=拍にきっちりはまらない=シンコペーションやアウフタクト(弱起)になりやすい」からです。
「メロディらしさとはなんなのか?」という要素の一つに「シンコペーション」があります。
これは作曲の領分になりますので、ここでは「シンコペーション」の深い意味は割愛しますが、端的に言えば「メロディを他の楽器(パート)に埋もれさせないために、リズムをずらして独立させる」ためにシンコペーションを用います。
もちろん、「シンコペーションさせるとスピード感が出てしまう」という理由から、ほとんど使わない音楽も中にはあります。
「アウフタクト(弱起)」とは、簡単に言うと「小節の一泊目から始めないメロディ」のこと。
小節頭から前にずらすか、後ろにずらすか、きっちり小節頭から始めるかで、メロディのスピード感が変わってきます。
拍にきっちりあてはめすぎると、日本の童謡ぽい、のっぺりとした曲、極端に悪く言えば「堅苦しく古臭いダサいメロディ」になりやすいです(言い過ぎ? 笑)。
そこで、メロディを流麗にリズミカルにするために「シンコペーション」や「アウフタクト」で拍から「ズラす」テクニックが使われている。ということだけを、ここでは覚えておいてください。
『押韻のテクニック』
「押韻」、いわゆる「韻を踏む」というやつです。
アクセントを揃えることで、リズム感やグルーヴ感が強調され、ノリが一気に出ます。
「歌っていて気持ちいい」と感じられる曲は、ほとんど押韻を意識して作られているといっても過言ではありません。
主に、作詞で使う押韻には2種類。
・「アリタネーション」:語句や文章の母音を重ねること。
例:「あした〜が あるーさ あすが ある♪〜」
歌いやすく、歌詞が頭に残りやすい=覚えやすくなります。
・「ライム」:文末の母音、語尾を同じにすること。
例:「ないないない 恋じゃない♪〜」
後ろにアクセントが付くことによって、ビートが強調され、歌のノリがよくなります。
他にも、音の響きが似ている語を重ねるのもOK。
【まとめ】
- 「一音一文字」というルールはない。
- 「一音に何文字つっこむか?」=「あてこみ」で歌のノリは大きく変わってくる。
- 日本語を英語っぽく使うと、一気に洋楽っぽいスピード感が出せる。
- 奇数の音節の単語を使うと「シンコペーション」や「アウフタクト」になりやすい。
- 拍にきっちりはめすぎると堅苦しく抑揚のつけづらい平坦なメロディになりやすい。
- 韻を踏むことは「歌っていて気持ちいい」と感じられる重要な要素の1つ。
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