【打楽器の役割】
今回は、打楽器の役割についてわかりやすく解説します。
①「ビートを生み出す」
音楽の四大要素のひとつ「リズム」。その「リズム・セクション」を担うパート。
なかでもドラムはポピュラーミュージックにおいて「リズムの要」であり、ドラムの打ち出すビートに乗って他のパートは演奏されます。
ポピュラーミュージックにおいて、ドラムとベースは合わせて「リズム隊」と呼ばれ、「バンドの土台」として機能します。
「パーカッション」とは、本来ドラムも含め「叩いて音を出す楽器全般」を指しますが、ポピュラーミュージックにおいてドラムの役割があまりに大きいため、「ドラマ―」と「パーカッショ二スト」と分けられるように、パーカッションは「ドラム以外の打楽器」という意味合いで用いられているようです。
②「楽曲に活気を与える」
打楽器の音数の増減により、楽曲の勢いは大幅に変わります。
また、打楽器は楽曲全体の音量をコントロールし、活気やエネルギーを与える役割もあります。
③「アクセントを加える」
ドラムの生み出すビートが、メロディにリズム感を与え、同時にメロディのアクセントを目立たせる(補強する)役割として機能します。
・低音のアクセントの補強⇒バスドラム
・高音のアクセントの補強⇒スネアドラム
④「楽曲の雰囲気を作り出す」
打楽器(パーカッション)の種類は世界に1000種類以上あると言われ、実に様々な音色が存在し、材質(木、金属、皮)の違いによる音色の違いで、それぞれの楽曲に合った雰囲気作りができます。
【打楽器(パーカッション)の種類】
《体鳴楽器》(それ自体が音を出す楽器のこと)
■『木製』
- カスタネット:スペイン発祥。フラメンコなどダンスのアクセントと合わせて用いられる。
- クラベス:カチカチと明るい音。ラテン音楽のリズム「クラーベ」を表現する際に用いられる。ジャズやクラシックなど様々なジャンルで使われている。
- 拍子木:雅楽やお祭りのお囃子などで使われている。高く澄んだ音。
- ギロ:ひょうたんに彫ったギザギザを棒で擦って音を出す「ギー、チャッ」と音がする。ラテン音楽で頻繁に使われている。
- ヴィブラスラップ:「カー〜」と甲高い揺れる音が鳴る。バラエティーなどの効果音としてよく使われている。
- シェイカー:楽器の中に粒が入っており、振って音をだす楽器。粒の粗さや材質によって音色が変わる。
- マラカス:シェイカーの一種。ヤシの実に砂を入れたものが原型。マンボやサルサなど、ラテン音楽でよく使われている。
- カホン:見た目は中身が空洞で側面に穴の開いた木の箱。手で叩いて演奏される。ペルー発祥。ドラムセットの代用としてアンサンブルに用いられる。楽器初心者にも扱いやすく、非常に人気度が高い。
■『金属』
- クラッシュ・シンバル:余韻のある澄んだ音質。厚みにより「シン」や「ヘヴィー」に分けられる。「シン」は余韻が短く低めであり、ジャズ向き。「ヘヴィー」は余韻長く高めであり、ロック向き。他にも曲の流れにアクセントを付けたり、フレーズの出だしに使って構成を示したり、リズム全体を高揚させる役割がある。
- ハイハットシンバル:音色は高めで、「クローズ」は硬く、「オープン」は響きのある音。ビートを刻む役割としてよく使われている。
- ライドシンバル:クラッシュシンバルとは異なるアタック感を出せる。ライドを使ってビートを刻む時もある。ロックでは高音で歯切れのいいものが好まれ、ジャズでは低音で多様性のあるものが好まれる。
- チャイナシンバル:個性的で強烈な音色。ビートを刻むときもあれば、曲を盛り上げるときに用いられたりもする。
- シュプラッシュシンバル:クラッシュより減退が速く、軽め。バラードやスピード感のある曲で使われる。
- スティール・ドラム:ドラム缶でできた音階のある打楽器。
- トライアングル:指の触れ方、打つ場所によって音色が変わるのが最大の特徴。非常に余韻が長い。
- ウィンドチャイム:別名「ツリーチャイム」。長さの違う金属の棒が並べて糸で吊るされており、棒同士がぶつかって音を出す。高くきらびやかな音色。
- ベル:種類はたくさんあるが、基本は鈴の音。高く澄んだ響きのある音色。
- カウベル:ベルの一種。もともとは牛(カウ)に付けるベルを楽器用に改良したもの。ラテン音楽の代表的な楽器の1つ。ドラムセットに組み込まれて演奏されることもある。
- タムタム(銅鑼):ゴングの一種。音は低く図太く、非常に余韻が長い。直径は30〜110cmとかなり大きめ。単音での強音は圧倒的なアクセントになる。「中国」をメージさせる楽器。ロール(細かい連打)によるクレシェンドは、オケ全体の響きに溶け込みやすく、全体の音の響きを倍加させる効果がある。
《鍵盤打楽器》
■『木製』
- マリンバ:木琴の一種。ピアノと同じ配列の木製の鍵盤をマレットと呼ばれる特製のバチで打って演奏する。温もりのある豊かな低音が特徴。
- シロフォン:マリンバとよく似ているがマリンバよりも高く固い音色が特徴。
■『金属』
- ビブラフォン:鉄琴の一種。大きく低い音板が使われていて、発音するときにヴィブラートがかかる。名前の由来である。ペダルによって残響を止めたりもできる。
- グロッケンシュピール:鉄琴の一種。「キン」とした金属質な高音が特徴。
- クラビネット:電子式キーボード。ファンク、ソウル、R&Bなどのブラック・ミュージックなどでよく用いられる。
- ミュージックボックス:いわゆる「オルゴール」のこと。
■『人体』
- ハンド・クラップ:拍手のこと。
- フィンガー・スナップ:いわゆる「指パッチン」のこと。ダンスミュージックやアカペラなどでよく用いられている。
- ボイス・パーカッション:打楽器の音色を口で作った音で表現すること。
- ボディー・パーカッション:ヒザなどの体を叩いてリズムを刻むこと。
《膜鳴楽器》
- ティンパニ:音程のある太鼓の一種。マレットの種類や叩く場所により音色を変えられる。オーケストラ全体の音量を上げる効果もある。
- ドラムセット:大小様々な打楽器を一人の奏者が演奏できるようにまとめたもの。組み込まれる打楽器は好みや音楽性により様々。なかでもリズムを刻む「ハイハット」アクセントをつける「スネア」ビートを支える「バスドラム」は「3点」と呼ばれる。
- スネアドラム:小太鼓、サイドドラムなどとも呼ばれる。テンポを整える中心的な存在。材質も多彩で音色は様々ある。ロックではバックビート(2拍・4拍目)をスネアで強調させることがほとんど。スティックの先端を外枠に当てる「リムショット」なども甲高い高音が得られ特徴的。
- バスドラム:大太鼓、「キック」とも呼ばれる。低く力強い音が出るため、ドラムセットには欠かせない、微妙な拍の強弱やアクセント、音量などを自在に変化させることができる。
- トムトム:ドラムでは、大きさの異なるタムが2〜4こ使われる。小さいほど音が高くなる。左から小さい順に置く。これもドラムでは欠かせないものである。
- フロアタム:主に低音を奏でる太鼓。スネアと同時に打ち込むことでよりアクセントが強調される。
- フレームドラム:世界最古の片面太鼓。種類が豊富にあり、タンバリンもフレームドラムの一種。
- コンガ:キューバのカーニバル音楽でよく用いられている。樽の上部に皮が張ってある打楽器。
- ボンゴ:非常に高音にチューニングされるのが一般的。コンガ同様キューバ発祥。ラテン音楽などで使われている。
- 鼓:「つづみ」と読む。日本の伝統楽器。打つときに掛け声を唱えるのも特徴的。「小鼓」「大鼓」「鞨鼓(かっこ)」と三種類ある。
- 和太鼓:日本の太鼓の総称。雅楽、歌舞伎、儀式、盆踊りなどで使われる。残響が非常によく響き、太く余韻が残る音が特徴的。また種類もたくさん有り、バチを使うのが太鼓で、手で叩くのは鼓になる。
【まとめ】
- 打楽器は「リズム」を司るだけでなく、楽曲の「音量」や「勢い」のコントロールや「雰囲気」を作り出す重要なパートでもある!
- ドラムはアンサンブルの土台。ビートが安定しているからこそ、他の楽器もノリよく演奏できる。
- 「音階」を持たないからこそ(一部を除く)「音質」や「音色」で勝負する。
- パーカッションには「音質」や「音色」が豊富にあり、印象が強く残りやすいため、楽曲に簡単に個性を持たせることができる。
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