今回は、ボーカル・録音する際に気をつけるべきポイントについて、メモしたものをそのまま記事にします。
参考程度にご覧ください。
ボーカル・録音のポイント【かけ録りはするべきか?】
【レコーディング時の注意点】
- 必ず「モノラル」で録って「モノラル」でミックスダウンする
→ステレオだと処理が難しく、またモノラルで録ったものをステレオでミックスダウンすると音質が変化して音が変な感じになる - 歌の録音時は「リバーブ」などの「空間系」はつけない
→「空間系」は「ステレオ感」が大切なため、モノラルでミックスダウンすると変な感じになる。 - 音量は-18dBFS(ピークで10dBFS)を目安に調整する
※0dBFSが最大、これを超えるとクリップする - EQは一切触らない→修正不可能であるため、すべてミックス時に調整する
【プロジェクト設定】
☆かけ録りする(インプットの音量をいじる)場合は、必ず「32bit float」の設定にする(ビット解像度=保存するときの音の解像度)
→自動で音の解像度を32Bitにしてくれるのでクリップを回避できる=出力オーバーがなくなる
※プロジェクト設定>ビット解像度>32bit float
- オーディオの中間書き出しは必ず「32bit float」にする
※中間書き出し=一旦書き出した音源を、さらにトラックに追加してミックスすること
※低いレベルの書き出しでビットレートも低いと、音質が激しく劣化する
フェーダーを下げたトラック>「32bit float」で書き出し>「ノーマライズ」
※ノーマライズ:音がクリップしない範囲で、自動的に小さい音量を適正音量まで上げることができる機能
《32bit floatのメリット》
・各トラックでレベルオーバーしても、マスターでのクリップを回避ができる
※オーディオインターフェイスのクリップは修正できない→オーディオインターフェイスのインプットのクリップはNG
・各トラックのフェーダーを下げても音質が劣化しない
【ボーカルのかけ録りのルール】
※かけ録り→エフェクトをかけた状態で録音すること
- 緩めの「コンプ」もしくは「リミッター」
→「音割れしないため」と「音像をはっきりさせるため」に使うという意識
かけ録りは修正不可能なので、音質が変化しないくらい「浅ーく」かけることが大事
《コンプかけ録りのメリット》
- レコーディング時に聴き取りやすい
- 編集&ミックスの手間が減る
- 独特の音質変化、音割れを防げる
☆コンプをかける目的=音の奥行き感を調整するため
→「後ろに引っ込んだ音を前に、出過ぎた音を引っ込める」イメージ
×音量&音圧を上げるためではない
→コンプをかけて音量が上がったように感じた場合はコンプのかけ過ぎ
=コンプの目的はあくまでも「トラックごとの音量のばらつき」を均一にして、「全体的なサウンドを聴き取りやすくするため」に使う
《かけ録り用コンプのおすすめ設定》
- レシオ「2~4:1」
- アタック「7.0-10msec」
- リリース「300msec」
- ゲインリダクション「2~4dB」
☆アタック:遅め、リリース:速め(音質変化、音のぶつ切り感を防ぐため)
アタック(0~1:速い、1~10:普通、10~:遅い)リリース(0~100:速い、100~500:普通、500~:遅い)
☆アタックを速くするならリリースは遅く、アタックが遅いほどリリースは速くする
※アタックが速いほど音が遠くなり、遅いほど音が温存され前に出る
※リリースが速いほど音の余韻が残り、遅いほど余韻があまり残らない音になる
《おすすめコンプ》
- 「1176」(味付け用)特徴:どの音源にも使える「万能コンプ」の代名詞的コンプレッサー、クリーンでクセがなく使いやすいと評判
- 「CLA-76」特徴:「1176」をモデリングしたプラグイン、音に心地いい歪を与えられノリや勢いが出る
- 「LA-2A」(オプト系)特徴:光学式(オプト系)コンプレサーの代名詞とも言える名機。自然で太く、温かみのある音作りができる
- 「RNC1773」(ハードウェア)特徴:原音をまったく劣化させることなく圧縮できるコンプレッサー。3~4万円ぐらいの価格帯だが「20万円超えの製品に匹敵する」と言われているぐらいハイパフォーマンスでめちゃくちゃコスパのいい名機。
- 「WAVES Renaissance Compressor(R-COMP)」特徴:「電子式」と「光学式(オプト系)」に切り替えることができ、幅広い楽器に使える万能型。シンプルで使いやすく、初心者でも扱いやすい。原音を崩すことなくクリアな音で圧縮できる。
- 「Tube-tech」(オプト系)特徴:柔らかく穏やかなサウンドから、よりきめ細かく歯切れのいいパンチのある音まで幅広い音作りが可能。あらゆるジャンル、楽器に使える万能型。
- 「smart:comp 2」特徴:楽器ごとに最適な設定をAiが自動でしてくれる。ミックスの手間が省け使いやすく、簡単に音のクオリティを上げることができる。もちろん手動でも調整可能。
※オプト系=光学式コンプレッサーのこと。アタックとリリースが遅めなことにより自然な音になりやすい。
【ミックスの手順】
基本的に以下の順番でエフェクト処理していきます。
☆ノイズ処理(クオリティ)>ダイナミクスの調整(聴き心地)>音の味付け(キャラ作り・音の強化)>空間系(ボーカルの余韻・存在感)ってな感じです。
- ノイズ処理:環境ノイズを取り除く
- ディエッサー:耳触りな「さ行」などの歯擦音(しさつおん)を取り除く
- EQ処理:低音&耳障りなピーク帯域のカット
- オプトタイプ系コンプレッサー(ナチュラル系):音の前後感(埋もれていないかどうか)の調整
- 深めのコンプレッサー(味付け用):音に迫力と質感を足す
- サチュレーター:音に歪みや倍音を付け足して存在感を出す ※なくてもよい
- エキサイター/EQ:足りない帯域の音の倍音を付け足す
- ショートリバーブ:音の粒を際立たせて聴き取りやすくする
- ロングリバーブ:音をにじませて楽曲のサウンドと馴染みやすくさせる
- モノラル・ディレイ:ステレオ感(空間的な広がり)を持たせて余韻を作る、音の立体感を出して音をくっきりさせ存在感を出す
番外編:おすすめプラグイン
有名な奴からド定番まで、「まあこれさえ持っていればハズレないでしょ」ってやつを紹介しておきます。
参考までに。
- ノイズ処理「RX11」特徴:Aiによる自動アシストがある、たいていのノイズ処理はこれ一つで完結できる
- EQ「GULLFOSS」特徴:5つのパラメーターの%をいじるだけ、Q値などの細かい微調整が要らない、「チートEQ」と言われるほど高機能で使いやすい
- EQ「FabFilter ( ファブフィルター ) / Pro-Q3」特徴:波形が見やすくEQ処理が直観的にできて格段にやりやすい、音量レベルに合わせてEQのかかり具合を調整できる、多くのプロが使う定番中の定番EQ
- EQ「R-EQ」特徴:シンプルで初心者にも使いやすく、やり過ぎ感が出ない、カット用におすすめ
- サチュレーター/ディストーション「Fabfilter Saturn2」特徴:音にキャラクターを加えるのに最適、アナログ感や派手な歪みもつけることが可能で「もう少しこの要素が欲しい」をかなり解決できる万能型
- エンハンサー「Vitamin Sonic Enhancer」特徴:音の美味しい要素を増やせる、ボーカルの音をより聴き心地よく主張させる効果があり使いやすい、音にパンチを加えることも可能
- エキサイター「NEUTRON 4 (iZotope)」特徴:学習機能搭載で設定がやりやすい、4つの倍音モードで好みの音が作りやすい
- エンハンサー「Oxford Inflator (Sonnox)」特徴:音を壊さずに簡単に音圧を上げたりキャラクターを加えたりすることができる、プロも使っている「チート系プラグイン」味付け用のコンプの代わりに挿すだけでOK
- エキサイター「X-Saturator (Solid State Logic)」特徴:暖かい空気感やアナログ感を足しつつぐっと前に出る力強さも出せる、直感的な操作ができて使いやすい
- ディレイ「WAVES H-Delay」特徴:ディレイに必要な機能がすべて入っており、これ一つで完結している定番中の定番ディレイ
- リバーブ「iZotope Neoverb」特徴:Ai機能搭載のリバーブ、トラックに合わせて自動でイコライジングしてくれるのでリバーブ独特のモコモコ感がなくリバーブをスッキリかけられる、3種類のリバーブを直感的に組み合わせることが可能
- リバーブ「FabFilter Pro-R」特徴:必要な帯域に必要なだけリバーブをかけられる優れもの、MIXがかなり楽になる
- リバーブ「Renaissance Reverb」特徴:クリーンで幅広いサウンドに対応可能、シンプルで使いやすく多くの人に使われている定番
- リバーブ「ADAPTIVERB」特徴:「サウンドとの調和」を追求しており濁りのない超ロングリバーブを演出できる、ノイズ除去機能もあり非常にクリアな残響音が作れる、ロング・リバーブ向け
- リバーブ「Rev PLATE-140」特徴:「伝説的なプレートリバーブ」と呼ばれる「EMT-140」をベースにしたプレートリバーブ、楽曲に合わせて残響音を調整できて使い勝手がいい、初心者にも扱いやすい
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