音楽の歴史とジャンル大別【音楽ジャンル辞典①】
今回は、音楽の歴史の大枠について紹介します。
「記事の内容」
- 演奏の特徴に基づく音楽ジャンルの大別
- 世界の音楽の歴史
- ポピュラーミュージックにおける音楽の歴史
- 日本の音楽の歴史
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演奏の特徴に基づく音楽ジャンルの大別
以下に、音楽ジャンルを演奏の特徴別に分けていくつかの例を挙げます。ただし、音楽ジャンルの数は非常に多様であり、これらはその一部にすぎません。
1. リズム&ブルース系
- ブルース: 感情的なボーカルとギター、12小節の構造で知られ、アフリカ系アメリカ人の音楽。
- ジャズ: インプロビゼーション、スウィングリズム、ブルーノートを特徴とするアメリカの音楽ジャンル。
- ゴスペル: 宗教的なテーマと合唱を特徴とし、黒人キリスト教の礼拝音楽。
- ソウル: リズム&ブルースとゴスペルの融合で、感情豊かなボーカルとリズミカルなビート。
- R&B(リズム&ブルース): リズム&ブルースの略称で、ダンスミュージックやポップスに影響を与えた。
- ファンク: リズム&ブルースの派生で、強調されたリズム、重厚なベース、そしてソウルフルなボーカルが特徴。
- ビッグバンド: 多くの楽器が組織された大編成のジャズバンド。
2. ポップ/ロック系
- ロック: 強力なリズムと電気楽器を特徴とするポピュラー音楽のジャンル。
- ポップス: 広く親しみやすいメロディと歌詞を持つポピュラー音楽。
- フォーク: アコースティック楽器とストーリーテリングが特徴の音楽ジャンル。
- カントリー: 南部のアメリカの田園地帯から生まれた音楽で、ギターとストリングスを特徴とする。
- オルタナティブ: 主流のポピュラー音楽から逸脱した、実験的で独創的な音楽。
- パンク: アグレッシブでエネルギッシュな音楽で、反体制的な歌詞と速いテンポが特徴。
- メタル: ハードロックの影響を受けた、重厚で激しいギターリフとボーカルが特徴。
- グランジ: 90年代初頭に登場し、不快感や怒りを表現した音楽ジャンル。
3. エレクトロニック系
- ハウス: ダンスフロアでのリズミカルなベースラインと4つ打ちのビートが特徴。
- トランス: フロアを飛び越えるような浮遊感とエモーショナルなメロディが特徴。
- テクノ: シンプルなリズムとサンプリングが特徴で、クラブシーンで広く支持される。
- ダブステップ: 強調された低音とリズム変化が特徴で、UKから生まれたエレクトロニック音楽。
- トラップ: ヒップホップの要素とEDMのエレメントを組み合わせた音楽ジャンル。
- ハードスタイル: 高速のテンポと強力なベースが特徴のハードコアなエレクトロニック音楽。
- ディープハウス: ハウスミュージックの派生で、リラックスした雰囲気と深いベースが特徴。
- チルアウト: リラックスした雰囲気とエスニックな要素を持つエレクトロニック音楽。
4. ラテン/ワールドミュージック
- ワールドミュージック: 世界各地の伝統的な音楽や民族音楽を指す広いジャンル。
- ラテン音楽:ラテン音楽は、ラテンアメリカの多様な文化やリズムを取り入れた音楽で、情熱的なリズム、躍動感、そして独特のメロディが特徴のジャンル。
- サルサ: キューバ起源のダンスミュージックで、ラテンリズムとジャズの影響を受ける。
- メレンゲ: ドミニカ共和国の音楽で、陽気なリズムと軽快なダンスが特徴。
- バチャータ: ドミニカ共和国の音楽で、ロマンチックな歌詞とギターが特徴。
- レガトン: ラテンアメリカの音楽で、ラップとレゲトンビートが特徴。
- サンバ: ブラジルの音楽で、陽気なリズムとダンスが特徴。
- カポエイラ: ブラジルの音楽とマーシャルアートを組み合わせた文化的な表現。
- インド音楽: インドの伝統的な音楽で、ラーガやターラを含むさまざまなスタイルがある。
- ボサ・ノヴァ:ボサノヴァは、ブラジル発祥のジャズとサンバの要素を融合した音楽で、軽快なリズムと滑らかなメロディが特徴。
- レゲエ: ジャマイカの音楽で、肯定的なメッセージとアフリカのリズムに基づいている。
- ソカ: カリブ海の音楽で、カリプソとインドの音楽の影響を受け、フィーコのビートと陽気な歌詞が特徴。
5. クラシック/伝統音楽
- クラシック: 西洋音楽の伝統的な形式で、バッハやモーツァルトなどの作曲家の作品を含む。
- オペラ: 歌と音楽、舞台芸術の融合で、物語は歌と演技で進行する。
- バロック音楽: 17世紀から18世紀初頭の西洋音楽の様式で、バッハやヘンデルの時代に発展。
- ジャズ: アメリカ合衆国で生まれた、即興性とリズミカルな要素が特徴の音楽ジャンル。
- フラメンコ: スペインの伝統的な音楽で、情熱的な歌、ダンス、ギターが特徴。
- カンタ・ホンダ: スペインのアンダルシア地方の音楽で、モーリッシュ、ユダヤ、キリスト教の要素が融合。
- カタルーニャ音楽: スペインのカタルーニャ地方の音楽で、独特のリズムとメロディが特徴。
- カントリー音楽: アメリカ合衆国の南部で生まれた音楽で、カントリーフィドルやバンジョーが使われる。
6. その他
- アンビエント: 環境音楽で、静かで実験的なサウンドスケープを作り出す。
- ニューエイジ: ニューエイジムーブメントの一環として生まれた、リラックスした音楽。
- サウンドトラック: 映画やテレビ番組などのために作曲された音楽。
- ニューミュージック: 現代音楽の一形態で、伝統的な楽器や様式にとらわれない実験的なアプローチ。
- エクスペリメンタル音楽: 伝統的な形式や構造を無視して、音楽を探求する試み。
- ノイズミュージック: 電子的なノイズやサンプリングを用いた実験的な音楽。
これらは一部の音楽ジャンルの例ですが、音楽の多様性と複雑さを示すものです。
世界の音楽の歴史
音楽の歴史を大まかに概観すると、以下のような段階に分けることができます。
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古代音楽
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中世音楽
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ルネサンス音楽
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バロック音楽
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古典派音楽
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ロマン派音楽
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近現代音楽
20世紀以降は、さまざまな音楽の潮流が交錯し、ジャズ、ブルース、ロック、ポップス、クラシック音楽など、さまざまなジャンルが発展しました。また、新しい音楽技術やデジタル技術の発展により、音楽の表現方法も多様化しました。
これらの時代区分は大まかなものであり、実際には複雑な変遷がありますが、音楽史の大枠を理解する上で参考になるでしょう。
我々現代人になじみがあるのは、7番目の近現代音楽です。
人類の歴史をみると、コンピューター技術などの残業技術もそうですが、音楽もある日突然、技術革命のような現象が起こり、指数関数的にいっきに様々な技術が生まれていったのがわかりますね。
わずか100年足らずで本当にいろんなジャンルの音楽が増えたと思います。
ポピュラーミュージックにおける音楽の歴史
近現代音楽やポピュラーミュージックの歴史も複雑で多様ですが、大まかな概観は以下の通りです。
これらのジャンルは相互に影響を受け合いながら発展し、さらに多様化しています。ポピュラーミュージックの歴史は、社会的、文化的な変化と密接に結びついており、常に新しいトレンドやサウンドが生まれています。
- アフリカ系のリズム+西洋楽器の技術をかけ合わせて大衆向けに育ったJAZZ。
- ギターを手に即興で歌って労働の苦痛から感情の解放を求めた黒人発祥のブルース。
- そのブルースをもとに白人音楽と融合して演奏+歌+バンドで大衆をにぎわせたロックンロール。
- そしてロックから様々な音楽要素を発展させよりライトに大衆向けに、「ポップミュージック」という広いくくりで独自の音楽性をそれぞれ伸ばしていきました。
- また、ロックでもJAZZでもない、クラブやストリート文化などからリズムとリリックに重きを置いたヒップホップが、ポピュラーミュージックとは別に独自の進化を遂げて発展していきました。
歌、リズム、リリック、楽器、即興演奏、バンド技術と学んでいけば現代音楽はもうばっちりです(←なにが?笑)
付属要素としてライブ技術や演出、熱い思いなど学べばいいでしょう。
日本における音楽の歴史
日本の音楽の歴史を大まかに概観すると、以下のような段階に分けることができます。
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古代音楽
古代の日本では、雅楽や民族音楽が盛んでした。雅楽は宮廷音楽として宮中で演奏され、雅楽師が伝統的な楽器を演奏しました。一方、民族音楽は地域や民族ごとに異なり、祭りや行事などで演奏されました。 -
平安時代
平安時代には、雅楽や雅楽の影響を受けた雅楽舞が栄えました。また、この時代には和歌も盛んであり、和歌と音楽が結びついた文化が形成されました。 -
中世
中世には、浄瑠璃や能などの舞台芸術が発展しました。これらの芸能には音楽が欠かせず、独特の楽器や調子が用いられました。 -
近世
近世になると、江戸時代には歌舞伎が興り、新たな音楽や舞台芸術の形式が生まれました。また、民間では民謡や端唄などが人々の娯楽として楽しまれました。 -
明治時代以降
近代に入ると、西洋音楽の影響が強まりました。明治時代には学校教育や軍楽隊で西洋音楽が普及し、日本の音楽にも影響を与えました。戦後、日本のポピュラー音楽やロック音楽が発展し、日本独自の音楽スタイルが形成されました。 -
現代
現代の日本では、様々なジャンルの音楽が存在し、ポップス、ロック、ジャズ、クラシックなどの音楽が広く親しまれています。また、アニメやゲーム音楽など、独自の文化が生み出されています。
これらの時代区分は大まかなものであり、実際には多様な要素が絡み合っていますが、日本の音楽の歴史の大枠を理解する上で参考になるでしょう。
日本って島国で鎖国していたからなのか、開国するまでは本当に民族音楽の国って感じですね。
雅楽、歌舞伎の舞台音楽、民謡→アニソン、ボカロ、DTM文化へ
まあ、わずかこの100年足らずで、よくぞここまで発展していったなあと、非常に感慨深いですねえ。
日本におけるポピュラーミュージックの歴史
日本の近現代音楽、特にポピュラーミュージックの歴史は、大まかに以下のように概観されます。
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戦後から1960年代
第二次世界大戦後、日本の音楽シーンは復興期を迎えました。アメリカからの占領文化の影響を受け、ジャズやロックンロールが広まりました。この時期には、ザ・スパイダースやザ・テンプターズなどのグループが活躍し、日本のロックンロールの基盤が築かれました。 -
1970年代
この時期は、フォークやニューミュージックが台頭しました。シンガーソングライターが多く登場し、自己表現の重視や社会的メッセージの発信が特徴でした。代表的なアーティストには、吉田拓郎、岡林信康、荒井由実(松任谷由実)、桑田佳祐などがいます。 -
1980年代
この時期には、テクノポップやシティーポップなどの新しい音楽ジャンルが登場しました。また、アイドル文化も隆盛を極め、アイドルグループやアイドル歌手が数多くデビューしました。代表的なアーティストには、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)、中森明菜、松田聖子、少女隊などがいます。 -
1990年代
1990年代に入ると、グランジやヒップホップなどの洋楽の影響が強まりました。日本のロックバンドやヒップホップアーティストが活躍し、新たな音楽スタイルが生まれました。代表的なアーティストには、Mr.Children、GLAY、安室奈美恵、布袋寅泰などがいます。 -
2000年代以降
デジタル技術の進化とともに、インディーズシーンの活性化や音楽配信の普及が進みました。さまざまな音楽ジャンルが多様化し、個々のアーティストが独自の音楽スタイルを追求する傾向が見られます。また、アニメソングやゲーム音楽などのサブカルチャーがポピュラーミュージックにも影響を与えています。
以上が、日本の近現代音楽、特にポピュラーミュージックの大枠です。日本の音楽シーンは常に変化し続けており、新たなトレンドやアーティストが次々と登場しています。
さらに直近だと、インターネットやボーカロイドの技術が発展&普及したおかげで、プロアマ問わず幅広い人々が音楽で表現&発信できる時代になっていきました。
より自由に、より幅広く、本当に多種多様な進化を遂げている音楽。すでに音楽でできる技法は出尽くされたといいます。
しかし、一個一個の技術や要素は既存でも、その組み合わせ方はそれほど本当に人の数ほどあると思います。
その中から、ありきたりを廃しながら個性を出し、それでも音楽的な技術に優れていて、なおかつ心地い音楽、そういう人たちが突出して有名になっていく時代。
ある意味過酷ですね。
ですがある意味、「プロにならなければ音楽を世の中に発信できない」というハードルが下がったおかげで、より世の中の音楽文化はにぎわって、純粋に音楽を楽しめる時代になったのかなあと思います。
再生数を気にしたら・・・ですが()
「お金や名誉が音楽を濁らせる」誰かがいったセリフですが、今も昔も「音楽の純粋さ」は創り手、歌い手、演奏者に委ねられているものです。
ただ何かが何かに置き換わっただけ。
昔でいう、「プロになって売れる」という、純粋な音楽要素とは本来関係ない野心から→SNSで高評価を得る。などというふうに、名誉欲の形が置き変わっただけ。どちらが悪いとかそういう話ではありません。
多様性、時代の流れ、受け入れようじゃありませんか。
プロってなんだろうね?
純粋に、音楽を楽しめたらいいのにね・・なんて。
音楽の歴史から始まり、そんなことを考え始める今日この頃でした。
またね!
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