モード・ジャズの特徴と歴史【音楽ジャンル辞典135】
今回は、モード・ジャズについての音楽的特徴や歴史をわかりやすく解説します。
モードジャズは、コード進行ではなくモード(旋法)を基盤に即興演奏を行うジャズのスタイルです。
1950年代後半に登場し、マイルス・デイヴィスのアルバム『Kind of Blue』がその代表作として知られています。
自由度が高く、シンプルな和音構造とミステリアスな雰囲気が特徴です。
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モード・ジャズの音楽的特徴
モードジャズの主な音楽の特徴は以下の通りです。
モード(旋法)の使用: コード進行よりもモードを重視し、特定のスケールに基づいて演奏します。
シンプルな和声構造: 複雑なコード進行を避け、より単純な和声背景の上で演奏します。
自由度の高い即興演奏: モードをベースにすることで、演奏者はコード進行の保留から解放され、より自由な即興が可能になります。
特徴的な音色:各モードは独自の音階と特性を持ち、イオニアン(明るい)、ドリアン(哀愁を訴えた)、フリジアン(エキゾチック)など、多様な表現をもたらします。
長い即興セクション: 一つのモード上で長時間続く即興演奏が特徴です。
強い情感表現:特にジョン・コルトレインの演奏に見られるように、モードジャズは強い情感を込めた演奏スタイルを特徴としています。
これらの特徴により、モードジャズとは従来のジャズとは異なり、より自由で創造的な表現を可能にしました。
モードジャズで使われている楽器
モードジャズでよく使われている楽器や音色は以下の通りです。
トランペット: マイルス・デイヴィスの影響により、モードジャズの代表的な楽器となっております。
サックス:ジョン・コルトレインに代表されるように、テナーサックスやソプラノサックスがよく使われます。
ピアノ:ビル・エバンのような演奏者が、モードジャズの発展に大きく貢献しました。
コントラバス: アコースティックベースは、モードジャズの基礎となるベースラインを提供します。
ドラムス: シンバルワークを中心としたリズムセクションの要として重要です。
ギター: モードジャズの和声的な背景を担います。
これらの楽器は、モードジャズ特有の自由で創造的な即興演奏が可能で、シンプルながら静かな音色を保ちます。
楽曲アレンジに取り入れるコツ
モードジャズの要素を楽曲に取り入れる際のポイントは以下の通りです。
シンプルな和声構造: 複雑なコード進行を避け、1つのコードを長く保持します。
モード(旋法)の使用: コード進行よりもモードを重視し、特定のスケールに基づいて演奏します。
自由度の高い即興演奏: モードをベースにすることで、より自由な即興が可能になります。
長い即興セクション: 一つのモード上で長い間即興演奏を取り入れます。
特徴的な音色:各モードの独自の音階と特性を活かし、多様な表現を追求します。
ミステリアスな雰囲気: ダークでクールな雰囲気を醸し出すことができます。
これらのポイントを意識することで、モードジャズの特徴を楽曲に効果的に取り入れることができます。
モード・ジャズの歴史
モードジャズは、1950年代後半から1960年代にかけて発展したジャズのスタイルで、従来のコード進行に基づく演奏から解放され、モード(旋法)を基盤とした即興演奏を特徴とします。
モードジャズの誕生と背景
起源と背景
モードジャズは、ビバップやハードバップの複雑なコード進行への反動として生まれました。これらのスタイルでは、コード進行が即興演奏の基盤となっていましたが、それが演奏者に配慮することもありました。
この問題を打破するため、モード(特定のスケール)に基づくアプローチが採用され、より自由で創造的な即興演奏が可能となりました。
ジョージ・ラッセルの理論
作曲家ジョージ・ラッセルは、モードジャズの理論的な基盤を提供しました。 彼の著作『The Lydian Chromatic Concept of Tonal Organization』は、モードを中心とした音楽理論を構築し、多くのジャズミュージシャンに影響を与えました。
モッドジャズの発展
マイルス・デイヴィスと『カインド・オブ・ブルー』
1959年にリリースされたマイルス・デイヴィスのアルバム『Kind of Blue』は、モードジャズを代表する作品です。このアルバムでは、シンプルなモード(例:ドリアン)を基盤とした曲が収録されており、「So What」や「Freddie Freeloader」がその典型です。
『Kind of Blue』は、モードジャズの完成形として広く認識され、その後のジャズ界に多大な影響を与えました。
ジョン・コルトレイン
ジョン・コルトレインもモードジャズの発展に大きく貢献しました。彼の楽曲「Impressions」やアルバム『A Love Supreme』では、モードを基盤とした即興演奏が追求されています。
ハービー・ハンコックと『処女航海』
ハービー・ハンコックのアルバム『処女航海』(1965年)は、モードジャズの手法をさらに発展させた作品として知られています。ここでは、モードによる和声とメロディが新しい次元で融合されています5。
モードジャズの特徴と影響
音楽の特徴
コード進行ではなく、特定のモード(例: ドリアン、リディアン)を基盤として即興演奏が行われます。
シンプルな和声構造が採用されるため、演奏者は自由度が高い表現が可能です。
その後の影響
モードジャズはフリージャズやフュージョンなど、その後の多くのジャズスタイルに影響を与えました。
また、クラシック音楽や現代音楽にも影響を与え、多ジャンルとの融合が行われました。
モードジャズは、それ以前のジャズスタイルとは異なる自由な即興性と表現力を追求し、新しい音楽の可能性を切り開きました。その革新性は現在でも多くのミュージシャンにインスピレーションを与え続けています。
モード・ジャズで有名なアーティストと楽曲
以下は、モードジャズで有名なアーティストとその代表的な曲です。
マイルス・デイヴィス (マイルス・デイヴィス)
楽曲:「So What」アルバム『Kind of Blue』(1959年)に収録、モードジャズを象徴する楽曲。シンプルナドリアンモードを基盤とした自由な即興演奏が特徴。
ジョン・コルトレーン (ジョン・コルトレーン)
楽曲: 「Impressions」モードジャズの手法を活用した代表作で、長い即興セクションが特徴。アルバム『Impressions』に収録。
楽曲: 「My Favorite Things」同名の映画音楽をモーダルにアレンジした作品で、彼の代表作の一つ。
ハービー・ハンコック (ハービー・ハンコック)
曲: “Maiden Voyage”アルバム『Maiden Voyage』(1965年)のタイトル曲で、海や航海をテーマにした美しいモードジャズのスタンダード。
ビル・エヴァンス(ビル・エヴァンス)
楽曲:「Blue in Green」『Kind of Blue』収録の楽曲で、彼の繊細なピアノタッチが即モードジャズの名作。
エリック・ドルフィー (エリック・ドルフィー)
楽曲:「Ezz-Thetics」トロンボーンやトランペットとともに展開されるモーダルな即興が特徴的な作品。
これらのアーティストと楽曲は、モードジャズの革新性と自由度を象徴し、その発展に大きく貢献しました。
モード・ジャズからの派生ジャンル
モードジャズの派生ジャンルには以下のようなものがあります。
1.フリージャズ(フリージャズ)
モードジャズ自由な即興性をさらに拡張し、コード進行やモードさえも解放したスタイル。 ジョン・コルトレインやオーネット・コールマンが代表的2。
2.フュージョン
モードジャズの即興性とハーモニーを基盤に、ロックやファンク、電子音楽などを融合させたジャンル。マイルス・デイヴィスの『Bitches Brew』がその始まりとされる。
3.現代ジャズ(コンテンポラリー・ジャズ)
モードジャズの影響を受けつつ、ヒップホップやエレクトロニカなど現代的な要素を取り入れたジャンル。モード演奏法は現代ジャズでも重要な要素として残っています。
これらの派生ジャンルは、モードジャズが自由に遊べる瞬間性をさらに発展させ、多様な音楽スタイルに影響を与えています。
〈参考記事〉
https://jazzfan.jp/?p=1102
https://mojicul.com/archives/11033
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%BA
https://serai.jp/hobby/12854
http://www.bekkoame.ne.jp/~echika/wayne/mode.html
https://blog.goo.ne.jp/hoboike_diary/e/767a24e38dc694666c84828fb353899b
https://note.com/kota1986/n/n00461b549618
https://v-matsuwa.cocolog-nifty.com/blog/2019/06/post-73f0b6.html







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