スウィング・ジャズの特徴と歴史【音楽ジャンル辞典136】

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WAVES JJP Vocals (Jack Joseph Puig) ウェーブス

スウィング・ジャズの特徴と歴史【音楽ジャンル辞典136】

今回は、スウィング・ジャズについての音楽的特徴や歴史をわかりやすく解説します。

スウィングジャズは、1930～40年代初めにアメリカで流行した、軽快なメロディーと小気味良いリズムが特徴的なダンス音楽です。

10人以上の大人数編成ビッグバンドによる演奏で、アドリブやソロは少なく、楽譜に基づいたアンサンブルを重視します。

スウィングしたリズムが印象的で、聴いていると体が自然と揺れ動くような躍動感が特徴です。

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スウィング・ジャズの音楽的特徴

スウィングジャズの主な音楽の特徴は以下の通りです。

1. リズムとグルーヴ
躍動感のあるスウィング・リズムが特徴的で、体が自然と揺れ動くような感覚を保ちます。
軽快でダンサブルなリズムを持ち、当時はダンスミュージックとして親しんでいただきました。
2.楽器編成
ビッグバンドと呼ばれる大人数編成で演奏されることが多く、10人以上の規模が一般的です。
サックス、トランペット、トロンボーンなどのホーンセクションと、リズムセクションで構成されます。
3. 演奏スタイル
アドリブやソロが少なく、楽譜通りの演奏が重視されました。
ライブでもレコードと同じ演奏を行うことが求められました。
4. サウンド
大人数編成による厚みのあるサウンドが特徴です。
明るく、テンションの上がるような曲調が多いです。
5. 指揮者の不在
通常、指揮者を置かず、リズムセクション（メインにドラムス）が演奏の開始を合わせて図し、コンサートマスターが終了を締めくくります。
6. 楽曲の特徴
甘く軽快な曲調が多く、大人数での調和が重視されました。
悲劇的な内容の曲はビッグバンドとの相性が悪いとされています。

これらの特徴により、スウィングジャズは1930年代から1940年代初頭にかけて大流行し、アメリカの大衆音楽として広く親しまれました。

スウィング・ジャズで使われている楽器

スウィングジャズでよく使われている楽器や音色は以下の通りです。

トランペット：華やかで明るい音色が特徴で、リードパートを担当することが多い。
コントラバス（ウッドベース）：弦を指ではじいて演奏し、ジャズらしい雰囲気を醸し出す。
トロンボーン：豊かで力強い音色を持ち、スライド機構によって動くような音の移動が可能。
サックス：低音域のサックスがオーケストレーションに慣れを考慮した。
ピアノ：リズム楽器としての役割も担い、「コンピング」と呼ばれる伴奏技法を担当。
ドラムス：4ビートを刻んだシンプルなビートを刻み、「チーン チッチ チーン チッチ」というシンバル・レガートがジャズを象徴する。

音色の特徴としては、ジャズ特有のルーズでふくよかな音色が挙げられます。
ブルースやカントリーよりもさらにルーズなアタック感を持つソフトな音色が好まれ、全体的にあまりクリアすぎず、適度なルーム感（リバーブ感）のあるサウンドが特徴です。

楽曲アレンジに取り入れるコツ

スウィングジャズの要素を楽曲に取り入れる際のポイントは以下の通りです。

スウィングリズムの活用 スウィング特有の「チンチッチ チンチッチ」というシンバル・レガートを入れることが４ビートを取り入れ、裏拍にアクセントを置いてリズムに躍動感を決めることが重要です。
ビッグバンドスタイルのアレンジ10人以上の大人数編成を想定したアレンジを行い、トランペット、トロンボーン、サックスなどのホーンセクションを活用して厚みのあるサウンドを作ることがポイントです。
アンサンブル重視即興演奏やソロよりも、全体で調和した演奏を重視します。各パートが役割を守りながら一体感を求められます。
軽快でダンサブルな曲調スウィングジャズはダンスミュージックとして親しまれていたため、明るい軽快なメロディとリズムを意識して作曲・編曲することが大切です。
クラシックな音色と楽器選び クラリネットやトランペットなど、スウィング時代によく使われた楽器を取り入れ、丁寧で上品な音色を再現することで雰囲気を重視します。

これらの要素を意識することで、スウィングジャズ特有のエネルギッシュで調和の取れたサウンドを楽曲に効果的に取り入れることができます。

スウィング・ジャズの歴史

スウィングジャズは、1930年代から1940年代初頭にかけてアメリカで大流行したジャズのスタイルで、ビッグバンドによる演奏とダンサブルなリズムが特徴です。

起源と背景
スウィングジャズの始まりは、1920年代のニューオリンズジャズやアーリージャズを遡ります。この時期にルイ・アームストロングやコールマン・ホーキンスラーリズムや編曲の準備を進め、新しいジャズスタイルの基礎を考えました。1929年の世界恐ろしさの後、アメリカ社会はテンポよく明るい音楽を求めるようになり、スウィングジャズがその要望に応える形で発展しました。
特徴と発展
スウィングジャズは、10人以上の大人数編成であるビッグバンドによる演奏が中心で、トランペット、トロンボーン、サックスなどのホーンセクションが主役となります。 スウィングリズムと呼ばれる躍動感のあるリズムが特徴で、当時はダンスミュージックとしても親しまれました。
このジャンルでは即興演奏（アドリブ）よりも、緻密なアレンジメントと全体の調和が重視されました。ラジオやレコードの普及により、観客はライブでもレコードと同じ演奏を期待するようになり、楽曲の統一感が求められました。
代表アーティスト
ベニー・グッドマン: 「キング・オブ・スウィング」と呼ばれたクラリネット奏者で、「シング・シング・シング」などの名曲を動かしました。
デューク・エリントン: 独自の作品編曲と洗練されたバンドサウンドで知られる。
カウント・ベイシー:軽快なピアノスタイルとグルーヴ感あふれるバンドサウンドが特徴。
グレン・ミラー: 「イン・ザ・ムード」や「ムーンライト・セレナーデ」など、大衆的なヒット曲を多数収録。
スウィング時代の終焉
1940年代に入って第二次世界大戦の影響で多くのビッグバンドが終焉し、スウィングジャズは衰退しました。 また、この頃からチャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーラによるビバップが登場し、より即興性や技術的な自由度を追求するモダンジャズへと移行していきました。

スウィングジャズは、大恐慌後のアメリカ社会に希望と楽しさを提供した音楽スタイルであり、そのダンサブルなリズムとビッグバンドによる華やかなサウンドは多くの人々に愛されました。
現在でも「Sing, Sing, Sing」や「In the Mood」などの名曲は世界中で親しまれています。

スウィング・ジャズで有名なアーティストと楽曲

スウィングジャズで有名なアーティストの曲には以下のようなものがあります。

ベニー・グッドマン
「Sing Sing Sing」: 1936年にルイ・プリマによって作られ、ベニー・グッドマンのバージョンが特に有名です。
「レッツ・ダンス」: 1935年にリリースされ、50年以上にわたってグッドマンのオープニング・ナンバーとして使われた。
グレン・ミラー
「In the Mood」: ジョー・ガーランドによって作られ、グレン・ミラーの演奏で世界人気を集めました。
「ムーンライト・セレナーデ」: グレン・ミラーの代表曲の一つです。
カウント・ベイシー
「One O’Clock Jump」: 1908年にリリースされた古い名曲で、カウント・ベイシーラによって作られました。
「ジャンピン・アット・ザ・ウッドサイド」: 1938年にベイシーのオーケストラとともにリリースされました。
デューク・エリントン
「It Don’t Mean a Thing (If It Ain’t Got That Swing)」: 1931年にリリースされ、2008年にグラミー賞の殿堂賞を受賞しました。
「Take The “A” Train」: 1939 年に作られ、1941 年にエリントンの楽団によってリリースされました。

これらのアーティストと曲は、スウィングジャズの黄金期である1930年代から1940年代まで初頭にかけて活躍し、現在でも多くの人々に親しまれています。

スウィング・ジャズからの派生ジャンル

スウィングジャズの派生ジャンルは、ジャズの進化と多様性の中で様々なスタイルを行いました。以下に代表的なものを挙げます。

ビバップ
スウィングジャズの後、1940年代に登場したジャンルで、より速いテンポと複雑なハーモニー、即興性が特徴です。チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーが代表するアーティストです。
ジャンプブルース
スウィングジャズとリズム＆ブルースが融合したスタイルで、ダンサブルなリズムが特徴。1940年代に人気を博しました。
エレクトロ・スウィング
スウィングジャズとエレクトロニックミュージックを融合させた現代的なジャンルで、Caravan Palace等を代表するものです。
フュージョン
スウィングジャズから発展したフュージョンは、1970年代にロックやファンクなどの要素を取り入れたジャンルで、マイルス・デイヴィスラを牽引しました。
マヌーシュジャズ（ジプシージャズ）
スウィングジャズの影響を受けたフランス発祥のスタイルで、ジャンゴ・ラインハルトが代表するアーティストです。

これらの派生ジャンルは、それぞれ異なる音楽的な要素を取り入れながらも、スウィングジャズのリズムやエネルギーを基盤として発展してきました。