シティポップの音楽的特徴と歴史【音楽ジャンル辞典㉙】
今回は、シティポップについて音楽的特徴や歴史をわかりやすく解説していきます。
シティポップは、1970年代から1980年代にかけて日本で流行した都市生活をテーマにしたポップミュージックのジャンルです。
都会的な雰囲気や夜の街のイメージを反映した音楽で、洗練されたメロディ、ジャズやファンク、ソウルなどの要素を取り入れたサウンドが特徴です。
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ロックとフォークの日本版ハイブリッドといえるニューミュージックを母胎とする点で、シティ・ポップは洋楽(特にアメリカ音楽)の日本独自なアレンジという側面を持つ。決まったスタイルのサウンドは無く、「明確な定義は無い」「定義は曖昧」「ジャンルよりもムードを指す」とされることもある。シティ・ポップにおける大事な要素としては、「都会的」で「洗練された」音楽であるという点が挙げられる。もっぱら日本語で歌われていた点も主な特徴である。
Wikipedia「シティ・ポップ」より引用
シティポップの音楽的特徴
シティポップの音楽的特徴は次のような要素があります。
洗練されたサウンド
シンセサイザーやエレクトリックギターなどの電子楽器を多用し、都会的で洗練されたサウンドを特徴とします。
スムーズなメロディー
キャッチーでメロディアスな楽曲が多く、耳に残りやすいメロディーが特徴的です。
ジャズやファンクの影響
ジャズやファンクの要素を取り入れたり、その雰囲気を取り入れたりすることがあります。
都会的なテーマ
都会の生活や情景を描写した歌詞や楽曲が多く、都市の喧騒や夜の輝きをテーマにしたものがあります。
レトロな要素
1980年代から1990年代初頭にかけての日本の音楽シーンを代表するジャンルであり、そのレトロな要素が特徴的です。
シティポップで使われている楽器
シティポップでは、以下のような楽器が特徴的に使われます。
楽曲アレンジに取り入れるコツ
シティポップの要素を楽曲に取り入れる際の主なポイントは以下の通りです。
シティポップの歴史
シティポップは、1970年代後半から1980年代にかけて日本で流行した音楽ジャンルで、欧米の音楽の影響を受けた都会的で洗練されたポップスを指します。以下にその歴史を詳述します。
シティポップの起源については統一した見解がないものの、音楽評論家の木村ユタカは、1969年から1972年に活動したはっぴいえんどをその起源とし、シュガー・ベイブのアルバム『SONGS』(1975年)もシティポップの嚆矢とされています。1970年代になると、自作自演のフォークやロックが「ニューミュージック」とカテゴライズされ、その中でも特に洗練された都会的な音楽が「シティポップ」として区別されるようになりました。
シティポップの基盤を作り上げた主要アーティストには、大瀧詠一、山下達郎、吉田美奈子、荒井由実、竹内まりや、大貫妙子、南佳孝、山本達彦などがいます。彼らの多くは東京出身または東京を拠点に活動しており、シティポップで歌われる「シティ」とは高度経済成長を経た「現代の東京」を指しています。
シティポップが成立した背景には、日本人の生活水準の向上や、変動相場制導入と円高による海外文化の流入、東京の国際都市化などの社会的変化があります。シティポップの盛衰は日本経済の盛衰と重なっており、1980年代のバブル経済期には特に多くのシティポップ楽曲が制作されました。
2000年代後半から「シティポップ」というキーワードが再び注目されるようになり、特に海外での再評価が進んでいます。現代の若者にとっても新鮮に感じられるその音楽性が、再評価の一因とされています。また、シティポップはサンプリング素材としても利用され、DJのプレイリストにも頻繁に登場するなど、国際的な人気を博しています。
シティポップは、その時代の日本の都市生活を反映し、洗練されたサウンドとメロディで多くのリスナーに愛され続けています。
シティポップ有名なアーティスト
シティポップで有名なアーティストには、以下のような人々がいます。
彼らは1980年代にシティポップのブームを牽引し、ジャンルの象徴的なアーティストとして知られています。
シティポップの名曲
ティポップの名曲のうちいくつかを詳しく見てみましょう。
村松邦男 – 「プラスティック・ラヴ」
1980年にリリースされたこの曲は、シティポップの代表曲の1つです。軽快なリズムとキャッチーなメロディが特徴であり、都会的な雰囲気を感じさせます。村松邦男の歌声が心地よく、聴く人々を魅了しました。
大貫妙子 – 「センチメンタル・シティ・ロマンス」
1981年に発表されたこの曲は、シティポップの名曲の中でも特に有名です。エレガントでジャジーな雰囲気が漂い、大貫妙子の柔らかな歌声が聴衆を魅了します。都会の喧騒から離れてロマンティックなひとときを楽しむ人々に愛されています。
角松敏生 – 「真夜中のドア~Stay with Me」
1986年にリリースされたこの曲は、シティポップの中でも特に人気があります。メロウでしっとりとした雰囲気と、角松敏生の独特のボーカルが特徴であり、夜の街を彷徨う人々の切ない心情を表現しています。
大滝詠一 – 「4月の風」
1976年にリリースされたこの曲は、シティポップの先駆けとも言える名曲の1つです。大滝詠一の独特の歌声と、繊細で美しいメロディが印象的であり、春の風に包まれながら街を歩く人々に心地よい感動を与えます。
小泉今日子 – 「渚のバルコニー」
1985年にリリースされたこの曲は、若者たちの恋愛観をテーマにしたシティポップの名曲です。爽やかなメロディと小泉今日子の明るい歌声が特徴であり、夏の海辺での青春を思い起こさせる楽曲となっています。
これらの曲は、シティポップの魅力を存分に堪能できる名曲ばかりです。
シティポップからの派生ジャンル
シティポップは比較的固定されたジャンルではありますが、いくつかの派生ジャンルや関連ジャンルが存在します。その中には以下が含まれます。
これらのジャンルは、シティポップから派生したり、その要素を取り入れて独自の音楽性を築いています。
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