グラインドコアの特徴と歴史【音楽ジャンル辞典90】
今回は、グラインドコアについての音楽的特徴や歴史をわかりやすく解説します。
グラインドコアは、ハードコア・パンクから派生した音楽ジャンルで、デスメタルの重厚さとファストコアの速さを融合させた非常に過激かつ暴力的なスタイルが特徴です。
主にブラストビートと呼ばれる高速のドラムビートを用い、ギターは重低音を強調したサウンドで、歌唱法には絶叫やデスボイスが含まれます。
このジャンルは短い曲が多く、時には1秒未満の楽曲も存在し、特にNAPALM DEATHの「You Suffer」は世界一短い曲として有名です。
グラインドコアはその過程で多様なサブジャンルを生み出し、現在でもメタルファンやハードコアファンに支持されています。
グラインドコアの音楽的特徴
グラインドコアは、ハードコア・パンクとヘヴィメタル(特にスラッシュメタル)の要素を融合させた、とんでもなくエクストリームな音楽ジャンルです。その特徴は主に以下のようにまとめられます。
このように、グラインドコアはその独自性とエネルギーで多くのリスナーを魅了し続けており、エクストリームミュージックシーンにおいて重要な位置を占めています。
楽曲アレンジに取り入れるコツ
グラインドの音楽の要素を楽曲に取り入れる際のポイントは、ジャンル特有の特徴を把握し、それを効果的に活用することです。以下に、具体的なポイントを示します。
1.ブラストビートの使い方
- 高速ドラムパターン: ブラストビートはグラインドコアの中心的なリズムです。スネアとシンバルを高速で叩いて、曲に圧倒的なエネルギーを与えます。
- ドラマーの技術: 高度なテクニックが求められるため、練習が要です。 特に、他の楽器との協議を意識して演奏することが重要です。
2.ギターサウンドの工夫
- 重低音の強調: ギターは通常、チューニングを下げて重低音を出すことが多いです。デスメタルに近いエッジの遠慮した音作りを心掛けましょう。
- リフのバリエーション: スラッシュメタルやデスメタル的なリフと激しいリフを実現することで、独自性を出すことができます。
3.ヴォーカルスタイルの多様性
- 絶叫とグロウル: 高音の絶叫と低音のグロウル(デスボイス)を大胆に、曲にダイナミクスを加えます。これにより、感情表現が豊かになります。
- 歌詞の内容: 歌詞は頻繁に社会批判やブラック・コメディ的な要素が含まれます。テーマやメッセージ性を意識して作成したら良いでしょう。
4.曲構成の工夫
- 短い曲: グラインドコアでは1分未満の曲がりが多く見られます。短い時間でインパクトを考えるためには、無駄を省いた構成が求められます。
- 飛躍的な展開: 曲調やテンポの大幅な変化を受け入れることで、聴いて初めて驚きを感じることができます。
5.サブジャンルへの理解
- 多様なスタイル: ゴアグラインドやノイズグラインドなど、様々なサブジャンルがあります。それぞれの特徴を研究し、自分のスタイルに合った要素を取り入れることで、より独自性が増します。
これらのポイントを意識することで、グラインドコア特有の激しさと独自性を持った楽曲制作が可能になります。
グラインドコアで使われている楽器
グラインドコアで使用される楽器は、ジャンルの特性に基づいており、以下のような楽器が一般的です。
これらの楽器は、グラインドコア特有の「速い・短い・うるさい」スタイルを実現するために必要です。
グラインドコアの歴史
グラインドコアは、1980年代中期にイギリスで誕生した音楽ジャンルで、緊張・パンクとデスメタルの要素を融合させた非常に過激なスタイルが特徴です。このジャンルの歴史は以下のように展開されます。
・1980年代中期: グラインドコアは、主にイギリスのハードコアバンドから派生しました。 特に、NAPALM DEATHが1987年にリリースしたデビューアルバム『Scum』が、このジャンルの評価に大きく評価しました。ブラストビートをリズムの主軸として使用し、その爆発的なスピードと音圧でシーンに衝撃を与えました。
・ブラストビートの導入: NAPALM DEATH以前にもブラストビートを使っていたバンドは存在しましたが、彼らがそのリズムを中心に据えていたことで、グラインドコアという名前が広まりました。 DEATHのドラマー)が「グラインドコア」という用語を考案したと言われています。
・1980年代末:NAPALM DEATHに続いて、CARCASSやEXTREME NOISE TERRORなどのバンドが登場し、アメリカからもTERROZERやREPULSIONが現れました。これにより、グラインドコアはアンダーグラウンドシーンで一大移動となりました。
・90年代以降: 1990年代にはデスメタルとの接近が見られ、音楽性が多様化しました。このため、純粋なグラインドコアバンドは減少しましたが、ジャンル自体は消滅するために続いています。 、ブラストビートはデスメタルなど他のエクストリームメタルにも広く受け継がれています。
・現在では、グラインドコアは多様なサブジャンル(ゴアグラインド、ノイズグラインドなど)を持つように、それぞれが独自のスタイルやテーマを展開しています。
特にゴアグラインドはとんでもない残虐性を強調し、ノイズグラインドは即興的な要素を取り入れるなど、多様性が増しています。
このように、グラインドコアはその以降現在まで、多くの変遷を経ながらも独自の地位を確立してきました。
グラインドコアで有名なアーティスト
グラインドコアの有名なアーティストやバンドには、以下のようなものがあります。
これらのアーティストは、グラインドコアの発展に大きく注目しており、それぞれが独自のスタイルやテーマを持っています。
グラインドコアの名曲
グラインドコアには多くの名曲が存在し、特に以下の楽曲が代表的です。
- ナパーム・デス – 「ユー・サファー」
世界一短い曲としてギネスに認定されているこの楽曲は、わずか1秒さで、グラインドコアの象徴的な存在です。 - テロライザー – 「ユニティ」
アルバム『World Downfall』に収録されており、ハードコアとデスメタルの要素が融合した完璧なグラインドコアの一例です。 - CARCASS – 「ジグソーア伍長の難問」
アルバム『Symphonies of Sickness』からのこの曲は、グラインドコアとメロディックデスメタルの橋渡しをする重要な楽曲です。 - 豚破壊者 – 「墓踊り子」
アルバム『Prowler in the Yard』に収録されており、タイトでソリッドなサウンドが特徴です。 - 反撃 – 「無実の人々の虐殺」
アルバム『Horrified』に収録されており、ブラストビートを抑えた攻撃的なスタイルが目立っています。 - BRUTAL TRUTH – 「イル・ネグレクト」
アルバム『Extreme Conditions Demand Extreme Responses』からのこの曲は、スレッジパートを取り入れた重厚感があります。 - AxCx – 「全員殺されるべきだ」
同名アルバムからのこのトラックは、58曲を収録した衝撃的な作品で、即興要素が強いです。 - NASUM – 「仮面の顔」
アルバム『Human 2.0』に収録されており、北欧デス譲りのサウンドが特徴的です。
これらの楽曲は、それぞれのバンドのスタイルやグラインドコアの特徴を反映しており、このジャンルを理解するための重要な作品となっています。
グラインドコアからの派生ジャンル
グラインドコアから派生したジャンルには、以下のようなものがあります。
これらの派生ジャンルは、それぞれ独自の特徴を持ちながら、グラインドコアの影響を色を受けています。
《参考記事》
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B3%E3%82%A2
- http://trohillicaworks.web.fc2.com/final/mb_grindcore.html
- https://yuuki-chi.com/grind-core-classics/
- https://www.excite.co.jp/news/article/E1456851978078/
- https://www.weblio.jp/content/%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%B3%E3%82%A2
- https://riffcult.net/2023/07/04/grindcore-best-albums-2023/
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