ポスト・ロックの特徴と歴史【音楽ジャンル辞典75】

ポスト・ロックの特徴と歴史 楽曲・ジャンル辞典
ポスト・ロックの特徴と歴史
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ポスト・ロックの特徴と歴史【音楽ジャンル辞典75】

今回は、ポスト・ロックについての音楽的特徴や歴史をわかりやすく解説します。

ポストロックは、従来のロックの方法論とは異なり、実験的なアプローチや多様なアイデアを取り入れた音楽ジャンルです。複雑な楽曲構造やエフェクターを多用したギターサウンド、インストゥルメンタル中心の楽曲が特徴です。

前回:アシッド・ロックの特徴と歴史【音楽ジャンル辞典74】

ポスト・ロックの音楽的特徴

ポストロックの主な音楽的特徴は以下の通りです。

従来のロックとは異なるアプローチ

複雑なコード進行や楽曲構成を使用します。
ジャズや現代音楽的な要素を取り入れています。

楽器編成の拡張

ストリングスやマレット楽器などのオーケストラ楽器を導入しています。
エフェクターを駆使した複雑なギターサウンドが特徴的です。

エレクトロニクスの活用

エレクトロニカやアンビエントの要素を取り入れています。
ポストプロダクションの技術を積極的に利用しています。

実験的な音作り

モチーフの反復や微小な変化を用いた曲作りが見られます。
広い範囲での強弱の変化を特徴としています。

ボーカルの扱い

インストゥルメンタル曲が多いのが特徴です。
ボーカルを使用する場合も、歌詞の意味よりも音としての役割を重視します。

長尺の楽曲構成

多くの場合、楽曲は長く、音色や強弱、響きの変化を繰り返します。

ジャンルの融合

アンビエント、ジャズ、エレクトロニカ、実験音楽など、多様なジャンルの特色を持っています。

これらの特徴により、ポストロックは従来のロックの枠組みを超えた、より実験的で多様な音楽表現を可能にしています。

ポスト・ロックで使われている楽器

ポストロックで使われている楽器の主な特徴は以下の通りです。

ギター:エフェクターを多用し、複雑で幻想的なサウンドを作り出します。
クリーントーンのアルペジオや、ディレイやリバーブを使った広がりのある音色が特徴的です。
ベース:リズムセクションの一部としてだけでなく、メロディを担うこともあります。
空間を埋めるような重要な役割を果たします。
ドラムス:複雑なリズムパターンや、テクニカルな演奏が特徴です。
時に荒々しく、時に繊細なグルーヴを生み出します。
キーボード楽器:ピアノやシンセサイザーが使用され、叙情的なフレーズや実験的なサウンドを生み出します。
ストリングス楽器:バイオリンやチェロなどのオーケストラ楽器が導入され、より豊かな音色を作り出します。
マレット楽器:ビブラフォンやマリンバなどが使用され、独特の音色を加えます。
エレクトロニクス:サンプラーやシーケンサーなどの電子機器を使用し、実験的なサウンドを生み出します。

これらの楽器は、従来のロックとは異なるアプローチで使用され、複雑なコード進行や楽曲構成、実験的な音作りに貢献しています。多くの場合、インストゥルメンタル曲が中心となり、各楽器が独自の役割を果たしながら、全体として独特の音響空間を作り出しています。

楽曲アレンジに取り入れるコツ

ポストロックの要素を楽曲に取り入れる際のポイントは以下の通りです。

実験的な楽曲構造:変拍子や複雑なコード進行を使用し、従来のロックとは異なる構造を持たせます。
音数の少ない静かなパートと、ギターノイズの壁で空間を塗り込める轟音パートを交互に繰り返す構造を取り入れることもあります。
多様な楽器の使用:ギター、ベース、ドラムスに加え、ピアノやシンセサイザー、ストリングスなどのオーケストラ楽器を導入します。
エフェクターを駆使して、複雑で幻想的なギターサウンドを作り出します。
エレクトロニクスの活用:サンプラーやシーケンサーなどの電子機器を使用し、実験的なサウンドを生み出します。
エレクトロニカやアンビエントの要素を取り入れ、広がりのある音響空間を作ります。
インストゥルメンタルの重視:ボーカルを使用しないインストゥルメンタル曲が多く、楽器の音色や演奏技術に焦点を当てます。
ボーカルを使用する場合でも、歌詞の意味よりも音としての役割を重視します。
ダイナミクスの変化:楽曲内での強弱の変化を大きくし、静と動のコントラストを強調します。
長尺の楽曲構成を取り入れ、時間をかけてドラマチックに展開することが多いです。

これらのポイントを意識することで、ポストロックの特徴を効果的に取り入れた楽曲を作ることができます。ポストロックは、従来のロックの枠を超えた実験的で多様な音楽表現を可能にするジャンルです。

ポスト・ロックの歴史

ポストロックの歴史は以下のように展開されました。

起源と定義
起源:「ポストロック」という言葉は、音楽批評家サイモン・レイノルズが1990年代初頭に使用したのが起源です。彼は、従来のロックとは異なる、新しいアプローチを持つ音楽を指すためにこの用語を使用しました。
定義:ポストロックは、ロックのリズムや和音、音色などの要素を持ちながらも、それを超えた実験的なアプローチを特徴とする音楽ジャンルです。ジャズや現代音楽、エレクトロニカ、アンビエントなどの要素を取り入れています。
1990年代:発展と全盛期
初期のバンド:1990年代前半から中盤にかけて、ポストロックは徐々に注目を集めるようになりました。代表的なバンドには、Slint、Tortoise、Bark Psychosisなどがいます。
全盛期:1990年代後半から2000年代初頭にかけて、ポストロックは全盛期を迎えました。この時期には、Godspeed You! Black Emperor、Mogwai、Sigur Rósなどのバンドが世界的に成功しました。
2000年代以降:多様化と影響
多様化:2000年代以降、ポストロックはさらに多様化し、様々なサブジャンルが生まれました。エレクトロニカやアンビエント、ジャズ、実験音楽などとの融合が進みました。
影響:ポストロックは、インディーロックやエクスペリメンタルロック、エレクトロニカなどの他のジャンルにも大きな影響を与えました。また、日本を含む世界各地でポストロックの影響を受けたバンドが登場しました。
現在
現代のシーン: 現在でもポストロックは活動を続けており、新しいバンドやアーティストが登場しています。音楽の多様性と実験精神を持ち続けており、音楽シーンにおいて重要な位置を占めています。
ポストロックは、その実験的で多様な音楽表現により、従来のロックの枠を超えた新しい音楽ジャンルとして発展してきました。

ポスト・ロックで有名なアーティスト

ポストロックで有名なアーティストには以下のようなバンドやミュージシャンがいます。

Godspeed You! Black Emperor:カナダのバンドで、長尺の楽曲と壮大なサウンドスケープで知られています。「East Hastings」などの楽曲が有名です。
Sigur Rós:アイスランドのバンドで、独特の歌唱法と幻想的なサウンドが特徴です。「Hoppípolla」などの楽曲が広く知られています。
Mogwai:スコットランドのバンドで、ダイナミックな音の起伏と実験的なサウンドが特徴です。
Explosions in the Sky:アメリカのバンドで、映画音楽のような壮大なインストゥルメンタル曲で知られています。
Tortoise:アメリカのバンドで、ジャズやエレクトロニカの要素を取り入れた先駆的なポストロックバンドです。
これらのアーティストは、ポストロックの発展と普及に大きく貢献し、それぞれ独自のサウンドと音楽性で知られています。彼らの音楽は、従来のロックの枠を超えた実験的で多様な表現を特徴としています。

ポスト・ロックの名曲

ポストロックの名曲には以下のようなものがあります。

  • “Mogwai Fear Satan” – Mogwai
    この曲はポストロックの代表的なトラックで、静と動の対比が見事に表現されています。
  • “Your Hand in Mine” – Explosions in the Sky
    感情的で壮大なインストゥルメンタル曲で、映画音楽のようなドラマチックな展開が特徴です。
  • “Storm” – Godspeed You! Black Emperor
    長尺の楽曲で、緊張感と解放感を交互に感じさせる構成が魅力です。
  • “Sæglópur” – Sigur Rós
    アイスランドのバンドによる美しいメロディと幻想的なサウンドスケープが特徴的です。
  • “TNT” – Tortoise
    ジャズやエレクトロニカの要素を取り入れた、実験的でリズミカルな楽曲です。

これらの曲は、ポストロックの特徴である実験的なサウンド、感情的な展開、そして独自の音楽的アプローチを体現しています。

ポスト・ロックからの派生ジャンル

ポストロックは、以下のような音楽ジャンルに影響を与えました。

インディーロック:ポストロックの実験的なアプローチや複雑な楽曲構造が、インディーロックの発展に影響を与えました。
アンビエント:ポストロックの広がりのあるサウンドスケープや、静と動の対比がアンビエント音楽の発展に寄与しました。
エクスペリメンタルロック:ポストロックの実験精神や新しい音作りの手法が、エクスペリメンタルロックの発展を促しました。
マスロック:ポストロックの複雑なリズムパターンや変拍子の使用が、マスロックの形成に影響を与えました。
エレクトロニカ:ポストロックのエレクトロニクスの活用や実験的なサウンド制作が、エレクトロニカの発展に貢献しました。
これらのジャンルは、ポストロックの特徴である実験的なアプローチ、複雑な楽曲構造、多様な楽器の使用、そしてサウンドスケープの重視などの要素を取り入れ、独自の発展を遂げています。ポストロックの影響は、音楽の多様性を促進し、新しいサウンドの創造に貢献し続けています。

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