アイリッシュミュージックの特徴と歴史【音楽ジャンル辞典65】

アイリッシュミュージックの特徴と歴史 楽曲・ジャンル辞典
アイリッシュミュージックの特徴と歴史
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アイリッシュミュージックの特徴と歴史【音楽ジャンル辞典65】

今回は、アイリッシュミュージックについての音楽的特徴や歴史をわかりやすく解説します。

アイリッシュミュージックは、アイルランドの伝統音楽であり、民謡やダンス音楽が中心となっています。この音楽ジャンルは、フィドル、ティン・ホイッスル、アイリッシュハープ、イリアン・パイプスなどの楽器を使用し、リールやジグといった特有のリズムが特徴です。

アイリッシュミュージックは、主に耳で学ぶスタイルが重視され、セッションと呼ばれる即興演奏が盛んに行われます。ダンスと深く結びついているため、楽曲はしばしば踊りに合わせて演奏されます。アイルランドの地域によって異なるスタイルや楽曲が存在し、豊かな文化的背景を反映しています。

前回:ブリティッシュビートの特徴と歴史【音楽ジャンル辞典64】

アイリッシュミュージックの音楽的特徴

アイリッシュミュージック(アイルランド伝統音楽)には、以下のような音楽的特徴があります。

ダンス音楽が中心:多くの曲はダンスのために作られており、リールやジグなど様々なリズムパターンがあります。
耳で覚える伝統:楽譜に頼らず、聴き覚えによって代々伝えられてきました。
独特の楽器:イリアン・パイプス(バグパイプの一種)、フィドル(バイオリン)、アイリッシュハープ、ティン・ホイッスルなどの伝統的な楽器が使用されます。
セッション文化:アイリッシュパブなどで、知らない人同士でも即興的に演奏を楽しむセッションが盛んです。
地域性:アイルランドの地域によって、演奏される楽曲や演奏方法に違いがあります。
独特のノリ:譜面上は単純に見えても、アイリッシュ音楽特有の「ノリ」で演奏するのは難しいとされています。
歌と器楽の両方:ダンス音楽だけでなく、多くの伝統的な歌も存在します。
国際的な影響:イギリス、アメリカ、カナダなど、アイルランド移民が移り住んだ国々の音楽とも影響し合っています。

これらの特徴が組み合わさり、アイリッシュミュージックの独特な魅力を作り出しています。現代では、伝統的な要素を保ちながらも、ロックポップスなど他のジャンルとの融合も見られ、国際的な人気を集めています。

アイリッシュミュージックで使われている楽器

アイリッシュミュージックで使われている主な楽器とその特徴は以下の通りです。

フィドル(バイオリン):アイリッシュ音楽の中心的な楽器で、民族音楽やクラシック以外のジャンルで使用されるバイオリンを指します。
フルート:一般的な金属製ではなく、木製のフルートが主流です。穴を直接指で押さえるのが特徴です。
ティン・ホイッスル:アイルランドの伝統的な縦笛で、簡単に演奏できる楽器です。
アイリッシュハープ:グランドハープよりも小型で、控えめで温かみのある音色が特徴です。レバーを上げ下げして半音の調整を行います。
バンジョー:アイリッシュ音楽では4弦のテナーバンジョーが一般的です。
ギター:比較的最近アイリッシュ音楽に取り入れられた楽器で、主に伴奏楽器として使用されます。
ブズーキ:ギリシャ発祥の弦楽器で、アイリッシュ音楽では主に伴奏用として使用されます。
アイリアン・パイプス:アイルランドの伝統的なバグパイプの一種です。

これらの楽器は、アイリッシュ音楽特有の「ノリ」や演奏スタイルで使用され、セッションやダンス音楽の演奏に欠かせません。多くの場合、複数の楽器が同時にメロディを演奏するユニゾンスタイルが特徴的です。

楽曲アレンジに取り入れるコツ

アイリッシュミュージックの要素を楽曲に取り入れる際の主なポイントは以下の通りです。

リズムパターンの選択:ジグ、リール、ホーンパイプなど、アイリッシュ音楽特有のリズムパターンを使用します。これらのリズムは曲の基本的な骨格を形成します。
伝統的な楽器の活用:フィドル(バイオリン)、ティン・ホイッスル、アイリッシュハープなどの伝統的な楽器を取り入れることで、アイリッシュらしい音色を出せます。
ユニゾン演奏:複数の楽器が同時にメロディを演奏するユニゾンスタイルは、アイリッシュ音楽の特徴的な要素です。
装飾音の使用:メロディに装飾音を加えることで、アイリッシュ音楽特有の表現を生み出せます。
音階の選択:アイリッシュ音楽で使われる特徴的な音階を使用することで、より本格的な雰囲気を出せます。
セッションスタイルの取り入れ:即興的な要素を取り入れたり、複数の楽器が自由に絡み合うようなアレンジを行うことで、セッション的な雰囲気を出せます。
ダンス音楽としての要素:多くのアイリッシュ音楽はダンスのための曲であるため、ダンサブルなリズムや構造を意識することも重要です。
地域性の考慮:アイルランドの地域によって演奏スタイルや曲調が異なるため、特定の地域の特徴を取り入れることで、より深みのある楽曲を作れます。

これらの要素を適切に組み合わせることで、アイリッシュミュージックの雰囲気を持つ楽曲を作ることができます。ただし、単に要素を取り入れるだけでなく、アイリッシュ音楽特有の「ノリ」を理解し、表現することが重要です。

アイリッシュミュージックの歴史

アイリッシュミュージックの歴史は、アイルランドの社会的、政治的変動と深く結びついています。以下にその主要な歴史的要素をまとめます。

中世からルネサンス期
吟遊詩人とハープ:中世のアイルランドでは、吟遊詩人(バード)が宮廷でハープを伴って詩を歌う文化がありました。この時期のハープは踊るための音楽ではなく、詩の伴奏として使われました。
17世紀から18世紀
・宗教改革とハープの禁止:17世紀の宗教改革期には、ハープの使用が一時的に禁止されることもありましたが、その後もハープは貴族の間で演奏され続けました。
・ダンス音楽の普及:17世紀後半から18世紀にかけて、ヴァイオリン(フィドル)が普及し、新しいダンス音楽が登場しました。この時期、フィドルはダンス文化の中心的な楽器となりました。
19世紀
・イギリス支配と文化の抑圧:アイルランドは長期間にわたりイギリスの支配下にあり、アイルランド語や伝統音楽、ダンスが禁止されることもありました。しかし、19世紀後半には独立運動が高まり、民族文化の復興が進みました。
・移民と音楽の逆輸入:19世紀中頃のジャガイモ飢饉により、多くのアイルランド人がアメリカに移民しました。移民先で発展したアイルランド音楽が再びアイルランドに逆輸入されることもありました。
20世紀以降
・民族主義運動と音楽の復興:20世紀初頭のアイルランド独立運動の中で、伝統音楽やダンスが再評価され、体系化されました。これにより、衰退していた伝統音楽が息を吹き返しました。
・現代のアイリッシュミュージック:現代では、アイリッシュミュージックは世界中で愛され、多くのミュージシャンが伝統的なスタイルを守りつつ、新しい要素を取り入れています。

アイリッシュミュージックは、アイルランドの歴史的背景と密接に関連し、幾多の困難を乗り越えながらも、その独自性を保ち続けてきました。

アイリッシュミュージックで有名なアーティスト

アイリッシュミュージックで有名なアーティストには、以下のような人物がいます。

ボノ(Bono):ロックバンドU2のリーダーで、アイルランド出身の最も有名な音楽家の一人です。彼の音楽はアイリッシュミュージックの影響を受けています。
ダミアン・デンプシー(Damien Dempsey):ダブリン出身のシンガーソングライターで、アイリッシュトラッドを基盤にした音楽スタイルを持ち、ボブ・ディランやシンニード・オコナーと共演した実績があります。
アンドリュー・ホージア(Andrew Hozier-Byrne):シンガーソングライターで、彼の音楽にはアイリッシュの伝統的な要素が取り入れられています。特に、彼のヒット曲「Take Me to Church」は広く知られています。
ランクム(Lankum):現代的なアプローチでアイリッシュトラッドを再解釈するバンドで、独自の音楽スタイルを持っています。彼らは伝統音楽を基にしつつ、新しい音楽を創造しています。
ナイアム・ダン(Niamh Dunne):フィドル奏者であり、アイリッシュトラッドバンドBeogaの創設メンバーとして知られています。彼女の音楽はグラミー賞にもノミネートされています。

これらのアーティストは、アイリッシュミュージックの伝統を尊重しつつ、現代的な要素を取り入れた音楽を展開しています。

アイリッシュミュージックの名曲

アイリッシュミュージックの名曲には、以下のような楽曲があります。

  • “Whiskey in the Jar” – 伝統的なアイリッシュバラードで、多くのアーティストによってカバーされています。特にシン・リジィやザ・ポーグスのバージョンが有名です。
  • “The Galway Girl” – スティーブ・アールが書いた曲で、アイリッシュ音楽の要素が強く、広く知られています。フィドルやアコーディオンが特徴的です。
  • “The Wild Rover” – アイルランドの伝統的な飲み歌で、セッションやパブでよく演奏される曲です。
  • “The Parting Glass” – 別れの歌として知られ、感情豊かなメロディが特徴です。多くのアーティストが取り上げています。
  • “The Irish Rover” – アイルランドの伝説的な船をテーマにした曲で、アイリッシュ音楽の典型的なリズムとメロディを持っています。
  • “Star of the County Down” – アイルランドの田舎を歌った美しいバラードで、様々なアーティストによって演奏されています。
  • “Molly Malone” – ダブリンの象徴的な歌で、観光名所としても知られるモリー・マローンの物語を歌っています。
  • “Danny Boy” – アイルランドの愛国的なバラードで、感情的な歌詞とメロディが特徴です。

これらの楽曲は、アイリッシュミュージックの伝統や文化を反映しており、現在でも広く演奏されています。

アイリッシュミュージックからの派生ジャンル

アイリッシュミュージックから派生した、または影響を受けたいくつかの主要なジャンルがあります。

ケルティック・ロック:アイリッシュ音楽の要素をロックミュージックと融合させたジャンルです。代表的なバンドにホートンズやドロップキック・マーフィーズなどがあります。
ケルティック・パンク:アイリッシュ音楽とパンクロックを組み合わせたジャンルで、フロッギング・モリーやザ・ポーグスなどが有名です。
ケルティック・フュージョン:アイリッシュ音楽と他のジャンル(ジャズ、クラシック、ワールドミュージックなど)を融合させた音楽スタイルです。
アメリカン・フォーク:アイリッシュ移民の音楽がアメリカのフォークミュージックに大きな影響を与えました。ボブ・ディランやジョーン・バエズなどのアーティストの音楽にその影響が見られます。
ブルーグラス:アイリッシュ音楽の影響を受けたアメリカの伝統音楽の一つで、特にフィドルの演奏スタイルに影響が見られます。
カントリー音楽:アイリッシュ音楽の要素がアメリカのカントリー音楽の発展に貢献しました。特にアパラチア地方の音楽に強い影響が見られます。

これらのジャンルは、アイリッシュミュージックの特徴的な楽器、リズム、メロディを取り入れながら、新しい音楽スタイルを生み出しています。アイリッシュミュージックの影響力は広範囲に及び、現代の様々な音楽ジャンルにその痕跡を見ることができます。

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