ガバ (Gabber)の特徴と歴史【音楽ジャンル辞典114】
今回は、ガバ (Gabber)についての音楽的特徴や歴史をわかりやすく解説します。
ガバは、1990年代初頭に生まれたハードコアテクノの一ジャンルで、140〜300 BPMの超高速で破壊的なリズムが特徴的な音楽です。
ディストーションをかけた「ガバキック」と呼ばれる特殊な打音を使用し、非常にエネルギッシュで攻撃的なサウンドが最大の特徴となっています。
オランダを中心に発展し、2002年以降にニュースクールとオールドスクールに分化したジャンルで、エレクトロニックダンスミュージックの中でも最もインテンシブな音楽スタイルの一つです。
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ガバ (Gabber)の音楽的特徴
ガバは、ハードコアテクノの一ジャンルで、以下の音楽的特徴を持っています。
非常に高速なBPM(140〜300)
「ガバキック」と呼ばれる、キックドラムに強烈なディストーションをかけた特徴的な音
破壊的で攻撃的なサウンド
音楽制作の特徴
使用楽器:キーボード、シンセサイザー、ドラムマシン
伝統的な909ドラムサウンドを使用
前衛的で実験的な音作り
スタイルの変遷
1990年代初頭にオランダで誕生
2002年以降、ニュースクール(Nuskool)とオールドスクール(Oldskool)に分類
ガバは、極めて高速で攻撃的な電子音楽ジャンルとして知られています。
ガバ (Gabber)でよく使われている楽器
ガバでよく使われている音色の特徴は以下の通りです。
音色の特徴
「ガバキック」と呼ばれる、ディストーションをかけたキックドラムサウンド
非常に歪んだ、破壊的な音色
高速で攻撃的な音響
使用される楽器と音源
キーボード
シンセサイザー
ドラムマシン
サンプラー
サウンドの特徴
140〜300BPMの高速なテンポに適した音色
スピーカーが割れるような優しいキックサウンド
明るくない、重厚な音色
ガバは、非常に特徴的で破壊的な音色を持つテクノのジャンルです。
楽曲アレンジに取り入れるポイント
ガバの要素を楽曲に取り入れる際の主なポイントは以下の通りです。
高速なBPM: 140以上の高速BPMを使用し、300近いBPMの曲も存在します。
ガバキックの使用: キックドラムの音にディストーションをかけた「ガバキック」を取り入れます。これはTR-909のバスドラム音を歪ませた音が基本となります。
破壊的な特徴: 全体的に非常に破壊的な特徴を持たせます。
シンセサウンド: ブ厚いシンセ音を使用します。特にノコギリ波を大量に重ねた音が特徴的です。
サンプリングの活用: 声ネタや既製曲とのマッシュアップを取り入れることが多いです。
リズムパターン: TR-909のリズムマシンを基本としたパターンを使用します。
エフェクト処理: ディストーションなどのエフェクトを多用して、音を歪ませます。
これらの要素を組み合わせることで、ガバ特有の激しくエネルギッシュなサウンドを作り出すことができます。
ただし、過度に暴力的な印象を与える可能性もあるため、楽曲の目的や聴衆に合わせて適切に調整することが重要です。
ガバ (Gabber)の歴史
ガバ(Gabber)は、1990年代初頭にオランダのロッテルダムで誕生したハードコアテクノのサブジャンルで、非常に高速かつ攻撃的な音楽スタイルです。
その歴史は以下のように展開されました。
1. 起源と発祥
ガバは、デトロイトテクノ、ハードコアテクノ、ニュービートなどの影響を受けて誕生しました。
発祥地はオランダ南ホラント州ロッテルダムで、特にクラブ「Parkzicht」がその中心地として知られています。
ジャンル名「Gabber」はオランダ語(イディッシュ語由来)で「仲間」を意味し、DJ Hardy Ardy Beesemerが主催するクラブイベントでのエピソードが由来とされています。
2. 音楽的特徴
高速なBPM: 通常140~300 BPM以上の非常に速いテンポが特徴です。
ガバキック: キックドラムにディストーションをかけた重厚で破壊的な音色が中心。
シンプルな構成: メロディ要素は少なく、リズムとビートを重視した構造。
攻撃的なサウンド: 全体的に激しくエネルギッシュな雰囲気を持つ。
3. 発展と普及
1992年、Paul Elstakがロッテルダム初のガバレーベル「Rotterdam Records」を設立し、ジャンルの普及に貢献しました。
「Thunderdome」や「Master of Hardcore」などのイベントがオランダ国内外でガバシーンを広める重要な役割を果たしました。
ガバは1990年代後半に一度シーンの表舞台から遠ざかりますが、2000年代初頭に「ニュースクール(Nuskool)」として復活し、新たなファン層を獲得しました。
4. 派生ジャンル
ガバからは以下のようなサブジャンルが派生しました:
スピードコア: BPMがさらに速く、極端なサウンドを追求。
ダークコア: 暗く不気味な雰囲気を持つスタイル。
ニュースタイルガバ: 実用性を重視した新しいスタイル。
5. 文化的影響
ガバは単なる音楽ジャンルに留まらず、ロッテルダムを中心とするユースカルチャーとしても発展しました。特に「スキンヘッド」や「スポーツウェア」を特徴とするファッションスタイルが象徴的です。
日本では石野卓球らによる布教活動やゲーム音楽(例:「リッジレーサー」のBGM)などを通じて浸透しました。
ガバはその激しいサウンドと独自のカルチャーによって、現在もエレクトロニック・ダンス・ミュージック(EDM)の一角として進化し続けています。
ガバ (Gabber)で有名なアーティストと名曲
ガバ(Gabber)で有名なアーティストとその代表的な楽曲は以下の通りです。
Angerfist
代表曲: Gas Met Die Zooi, Virtual Disaster
オランダのガバシーンを牽引する象徴的なアーティスト。仮面を被ったパフォーマンスが特徴で、重厚なキックと攻撃的なサウンドが魅力。
Neophyte
代表曲: Coming At You Strong, Alles Naar De Klote (Neophyte & Evil Activities Remix)
ガバグループとして知られ、アグレッシブなリズムとエネルギッシュな展開が特徴。
DJ Isaac
代表曲: Bad Dreams
1990年代から活動するオランダ出身のハードコアテクノの先駆者で、キャッチーなメロディとハードなビートを融合。
Tha Playah
代表曲: Why So Serious
ダークでドラマチックなサウンドが特徴で、映画のセリフをサンプリングした楽曲なども制作。
Korsakoff
代表曲: Lyra
女性プロデューサーとしてガバシーンで活躍し、美しいメロディラインとハードなビートを融合させた楽曲が多い。
Noize Suppressor
代表曲: Push It, Disco Ballz
イタリア出身のガバアーティストで、パワフルなライブパフォーマンスと重いキックが特徴。
Paul Elstak
代表曲: Rainbow In The Sky, Luv U More
ガバ黎明期を支えた重要人物で、メロディックかつポップな要素を取り入れた楽曲が多い。
Miss K8
代表曲: Raiders of Rampage (Official Masters of Hardcore 2016 Anthem)
ウクライナ出身の女性DJで、エネルギッシュかつ壮大なアンセムを制作。
Brainkicker
代表曲: Barbu Bouffe Moi L’Cul
変態的とも言える歪んだベースラインと速いBPMが特徴的。
Evil Activities
代表曲: Broken (with Endymion feat. E-Life)
力強いボーカルとハードコアビートを融合させた楽曲が特徴。
ガバの名曲
Vogeltjesdans (Flip Da Gabber Mix) by Gabber Geert
Je Moet Je Muil Houwen by Neophyte
Atomic Storm by Noizenecio
When Angels Cry by Nosferatu
これらのアーティストや楽曲は、ガバ特有の高速テンポ、重厚なキックドラム、そして攻撃的なサウンドデザインを象徴しています。特にオランダを中心に発展したガバシーンは、彼らの活動によって世界中に広まりました。
ガバ (Gabber)からの派生ジャンル
ガバ(Gabber)から派生したジャンルは以下の通りです。
1. ニュースタイルガバ (Nu Style Gabber)
特徴: 元々のガバよりもテンポが遅く、三連符を多用することで独特のリズム感を持っています。踊りやすさを重視したスタイル。
背景: 高速化しすぎたガバを見直し、実用性を意識して進化したジャンル。
例: 動画サイトなどで「盆踊りのようなリズム」としてネタにされることもあります。
2. メインストリームハードコア (Mainstream Hardcore)
特徴: 現代のガバを指すことが多く、派手な展開と大胆なシンセサウンドが特徴。テンポは150~200 BPMと幅広い。
背景: 90年代の「オールドスクールガバ」と区別されるスタイルで、より洗練された音作りがされています。
3. スピードコア (Speedcore)
特徴: BPMが200以上(場合によっては1000超)に達する超高速ジャンル。攻撃的で暴力的な曲調が多く、ノイズやスクリームも取り入れられます。
ガバの影響が強いスピードコアの派生ジャンル
テラーコア (Terrorcore): BPM200~300。
スプリッターコア (Splittercore): BPM700~1000。
エクストラトーン (Extratone): BPM1000以上。
背景: ガバからさらに極端な速さと激しさを追求したスタイル。
4. ダークコア (Darkcore)
特徴: 暗く不気味な雰囲気を持つ音楽スタイル。重低音と不協和音的なメロディが特徴。
背景: レイヴ文化のダークな側面を反映し、ドラッグ文化とも関連した表現が多い。
5. ドゥームコア (Doomcore)
特徴: ガバのエネルギッシュな要素を抑え、遅めのテンポ(BPM120~140)と暗い雰囲気を重視。
背景: ダークで重厚なサウンドに焦点を当てたジャンル。
6. インダストリアルハードコア
特徴: インダストリアルミュージックの要素を取り入れた無機質で重厚なサウンド。
背景: 機械的で冷たい雰囲気を強調したスタイル。
これらの派生ジャンルは、ガバ特有の高速ビートやディストーションキック(ガバキック)を基盤に、それぞれ異なる方向性で進化しました。
それぞれが独自のリスナー層やシーンを形成しながら、ハードコアテクノ全体の多様性を広げています。
〈参考記事〉
https://non-non-bili.seesaa.net/article/503746879.html
https://ssl.mac.or.jp/memberregistration/trivia.php?id=32
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%90_(%E9%9F%B3%E6%A5%BD)
https://music.apple.com/jp/playlist/%E3%83%99%E3%82%B9%E3%83%88-%E3%82%AA%E3%83%96-%E3%82%AC%E3%83%90/pl.6d1f686b978d46eb99242ad9c4373d48
https://dic.nicovideo.jp/a/gabba
https://guide.gcas.cloud.go.jp/general/overview-explanation-chapter-04/
https://sound-web.com/genre/%E3%82%AC%E3%83%90
https://ameblo.jp/hardgate/entry-12206705188.html







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